ツキアカリテラス

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寝てしまってすみません

このご時世で色々変わったことはあるが、特に生徒に関して言えば昔よりも精神的に病むケースが顕著に増えてきた。もちろんこれをご時世のせいだとか、本人の心が弱いからだと言うつもりは全くない。自分以外の何か他のものに責任を求めても何の解決にもならないのだから、その中で我々大人がどう寄り添っていかなければならないかを考えなければならないと思う。

 

これに関連して、次のようなものもここ数年でよく見るようになった。

 

何かというと、出席カードに「寝てしまってすみません」という懺悔の言葉である。

 

こういうメッセージをもらうと、自分としてはすごく悲しくなる。それは寝られてしまったからではなく、なんて世知辛い世の中を生きているんだろう、そして我々大人がそう生かせてしまっているんだろう、と思うからである。昔は口を開けて寝ていた生徒もいたくらいなのに(笑)

 

もちろん授業中に寝ることはアリかナシかと言えばナシだ。だから私も時々巡回に行って(私は授業中よく巡回するタイプの教師である)起こす。肩を叩いたり、真横で足音をわざと大きくしたり、机の端を叩いたり、あるいは眠そうだったらわざと視線を気持ち長めに向けたり。

だが学校の課題が立て込んでいたり部活動で忙しかったりすると、そうもいっていられない。休んでスッキリした状態で授業に臨めば?という意見はあるだろうし、私だってそう思うことは時々あるけれど、それでも頑張って教室に来ているのだ。生徒たちはいい意味で欲張りだと思っている。二兎を追うなら這いつくばってでも二兎を得るのだ。私だって授業が退屈であれば机に突っ伏していた。寝ること、いや、寝て“しまう”と言った方がいいだろう、それは絶対悪ではないと思っている。

 

それなのに、こういうメッセージをもらうのである。本人の価値観がそうさせたのか、それまでの経験から寝ることに対する罪悪感が過度に強くなってしまったのか分からないが、あまりにも怯えている、自分を責めすぎている様子が文面からありありと浮かんで申し訳ない気持ちになるのだ。その点でも彼ら/彼女らの心が脆弱になっているように感じる。

 

だからと言って「私の授業では思いっきり寝ていいよ!」とはさすがに言えない(笑)ひとまずは寄り添いつつ、今日も明日も巡回して起こすしかない。