小テストの結果を重視すること
授業で行う小テストや確認テストは、「学んだことが定着しているかどうか」を評価できることが最重要視されるものであって、「それを用いて発展課題ができるかどうか」を評価するのは二の次だと思っている(それは実力テストや発展演習の類で出題すれば良いと思う)。私自身もこの手のテスト作成はかなりやっているが、その点は以下の本を読んでからかなり気にするようになった。この本は授業に携わる人、教務に携わる人にとっては必読の書だと思う。
それゆえ、このようなテストでは一問一答形式の問題や、ドリル的要素の強い問題が大半を占めることになる。それゆえ、本来の目標=入試合格を見据えた場合、それに対応できるだけの力をつけられるかどうかという点では効果はいまひとつかもしれない。定石が身についているかどうかよりも使いこなし方を問う方が良い気もする。しかし、この手のテストは決して軽視されるべきものではないと思う。それはいくら思考力があってもそのための道具がなければ使い物にならないという至極当然な理由もあるのだが、少し前から、違う意義もあるのではと思うようになった。
この手のテストは真面目に勉強しさえすれば普通に満点を取れる。この満点を取るという結果が良い動機付けになりうるのだと思う。実際「満点が続いていて本人がいい気分で勉強しています」と保護者の方からありがたい言葉をいただくことも過去にあった。生徒をノせて詐欺師みたいじゃないか、それで本当の意味で学力がつくのか、そんなことでは来るべき受験勉強という大きな負荷に耐えられない、といった批判はあるかもしれない。しかし、そこでずっと先の入試を直視して勉強せよ、といってそれに耐えられない人間を潰すことこそ罪悪ではないのか。いきなりこれが入試だ、あなたたちが超えなければならない目標だ。今のままでいけると思うのか、そう思わないなら勉強しろ!みたいなものではなく、まずは勉強してみる、そして小テストでその成果が報われる、そうすると楽しいから勉強を続ける、、といった流れで入る勉強もアリだと個人的には思う。入り口はもっと開けていても良いのではないかと思うのだ。今は段差が低くても、それに慣れていけばそのうち高い段差でも駆けあがれるようになるかもしれないのだから。