2023年度大阪大学化学の入試問題を解いてみた
今年もこの時期がきたので自己研鑽もかねて解いていきます。
全体的な難度は例年並みで(物理が大幅に難化した分易しくなった印象を受けがちだが決して易しいとは感じなかった)、ここ数年高止まりの印象。ただ、例年よりも易しい問題と難しい問題の難度差が大きく開いた印象でした。かなり以前はこういうセットが多かったので、その傾向に近い形だと感じました。
大問1:電離平衡の問題。物質バランス・電荷バランスの式を立てるといった、テーマとしてはありふれた問題。大昔にアンモニアの電離平衡で類題が出ている。ただ、やや問題文が不親切なので少し行間を読む必要があった。また、後半のグラフ描図の問題を考え込まずに解けたかどうかもカギになるのでは。特に低濃度のときにどこまで厳密に議論すべきかが悩ましい。
大問2:気液平衡に関する問題。この手の問題でありがちな定積条件ではなく定圧条件であることに注意。そこまで難しくはないが状況把握力が試されるので、差がついたと思われる。問6で201℃の温度設定の意図が分かるので解ければかなりスッキリする。
大問3:反応理論とラセミ体に関する問題。単純な知識問題が多いが、問題数が多いので多少焦るかも。問1と問4はできなくても悲観しなくて良いだろう。それよりもそれ以外の問題を平常心を保って正解できたかが大切。問3はシス-トランス異性体の存在に注意。問7は良問、だが「分子式」に戸惑うかも。問9は反応機構が分からなくても思考で解答を導ける(というより、そういうスタンスで解くべき問題だと思われる)。
大問4:糖類に関する問題。どれも標準的なので完答を目指したい。慌てて構造式で原子の書き忘れがないように注意する。