ツキアカリテラス

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2022年度東京大学入試(化学)を解いてみた

ここ数年、すごく洗練された印象を受けていた東大の化学ですが、今年はその完成形を見せられた気がします。テーマも出題意図もよく練られた良問揃いです。これを易しめにしたのが共通テスト化学の目指すものなのかなとも感じました。純粋な難度は昨年よりやや易しめとは言え、記述量も計算の煩雑さも昨年を上回るもので、さらに読解も時間をとられるので、全体的には昨年並みかやや難といったところかと思います。

 

第1問

Ⅰ 油脂の構造決定。分子量の決定が目新しくて面白い。テーマとしては典型的だが、二重結合の位置や炭素数がずれやすく、ミスを犯しやすい。時間がないとは言え、落ち着いて解いていくことが大切。

Ⅱ 模試でありそうな問題。マルコフニコフとザイツェフは東大志望なら知っている人も多いのでさっと読んで解いた受験生も多いのでは。しかし問題文が秀逸。テーマとしてはよくあるものの、丁寧かつ洗練された問題文だと感じた。

 

第2問

二酸化炭素削減に関する問題。東大は環境問題をテーマにしたものが多い。熱化学の問題だが、ゼロベースで進めていっても難なく正解を導ける。というより、そのスタンスの方がやりやすいのかもしれない。計算が煩雑で、情報も込み入っている。おまけに計算過程が求められるので相当に時間を取られる。見た目以上に難しい問題。

Ⅱ プルシアンブルー。たしか東大が放射性物質の除染のためにこの研究をしていた気がする。これも処理能力が求められる。カはイオンの価数を見れば配位数が推察できる、美しい問題だと思った。

 

第3問

Ⅰ 再び二酸化炭素の排出に関する問題だが、問われる能力は全く違う。状態図も東大では頻出。カは定性的に解けたはずなのにゴリゴリ計算してしまった、悔しい。

Ⅱ このご時世なのか、サイトカインと抗体の結合に関する問題。グラフの読み取りが多く必要となるので、苦手な受験生は大変だったと思う。だが、巷で言われているほど難しくは感じなかった。第2問Ⅰのほうがよっぽど厄介。シはよくできた問題。