ツキアカリテラス

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数学を担当していない理系の塾屋さんが数学重要問題集を解いてみて気づいたこと

色々と本業が忙しいのでだいぶん間が空いてしまった。書くネタはあるにはあるのだが、それを文章としてまとめる時間がなかなか取れない。とは言え、よくよく考えたらこれまでのブログも大半は大して構成は考えず思うがままに書いているから、もうバーっと書いてしまえばいいのかなと思ったり。続けることが大事だから、少し意識を変えてみようかな。

 

で、タイトルの件である。私は現在数学を担当教科として教えていない。いや、例えば大学生のチューターくらいの質問受けくらいならできなくはないのだけど(ただし数Ⅲはかなりご無沙汰なので覗く)、大学ではせいぜい一般教養止まりだし、それもちょっとした微積以外はほぼ記憶から抜けているので、素人同然と言っていい。

 

ところが、やはり大学受験生といえば要の科目は英語と数学である。もちろんこれには賛否両論あるだろうし、実際私は否定的である。理系であれば点を稼ぐのは理科だから、理科をいかに仕上げるかが大学に合格する上で重要だと思っている。でも、特に非受験学年にはなかなかそういうことを簡単に納得してもらえないし、理科の対策に十分な時間を割くためには、ある程度英数の基礎を完成させなくてはならないのは間違いない。

 

しかし、そうは言っても高3のこの時期になっても数学で困っている受験生は割といる。それで、数学に苦しんでいる受験生っていったいどこで困っているのか、そういう受験生の気持ちになることが今後進路指導をする上で必要なのでは、と思ったのだ。

 

問題を持ってこられたときにここはこう解く、といった話はできるかもしれない。しかし、理系でありながら数学について明確なアドバイスを自信を持ってできない自分がいる。これをなんとかしたいと思ったのだ。

 

そういうわけで、大学入試で数学の問題を解くときに、どういう点に注意すればいいのか、どういう感覚を身につければいいのかを再認識するために、数学の勉強を始めようと思ったのだ。そこで、どのような問題集をやっていけばいいのかを色々調べてみたのだが、手広く標準〜応用を身につけられるということ、そして割と最新の傾向も踏まえていることが決め手となり、定番の「数学重要問題集」を解いていこうと思ったのが先月のことである。

 

先に述べた通り、本業が繁忙期ということもあり、なかなか進められていないが、とりあえず整数までは進めることができた。ただ、そこでもある程度気づきがあった、それもおそらくこういった数学の勉強をする上で一番大きな気づきだと思われるので、それを備忘録として示しておく。

 

現状の気づきは以下の2点である。

・数学にセンスはさほど要らない

・数学の問題を解くための発想の一部は分野横断的である

 

1つ目について。数学はセンスが必要だと時々言われる。個人により解釈は様々だが、私がセンスと呼ぶものは「数学が得意である人にしか絶対気付けなさそうな着想」「数学の問題をたくさん経験していることがモノを言う着想」である。ただ、これはあまり必要ないな、と感じる。まだほぼ代数しかやっていないので、また変わるかもしれないけれど、これは多分揺るがないだろうと思う。

 

実際、変形した式などをみていると、論理的に考えて、おそらくこういう変形をすればうまくいくだろうというのが見えてきて(こういうところ、本当に問題がよくできていると感じる)、実際そうすると突破口が開ける、ということを問題を解いていて何度も経験した。やはり数学は論理的思考力がモノを言う教科だと思うのだ。

 

しかし、その「うまくいくだろう」というのが、例えば「この漸化式はこう変形する」と言った、分野や単元に依存した定石でないことが非常に多い。それどころか、そういう考えがいろんな問題で出てくると感じたのだ。これが2つ目の気づきである。

 

例えば、整数解を出す問題でax+by=xyみたいな形がでてきたら(x-○)(y-△)=□にするとうまくいくみたいなものである。整数解を求める問題だからこう変形する、というよりは、「こうなったら嬉しい(解きやすくなる)」というのがあって、そこに気づくといったようなものだ(この辺はうまく言語化できていないのがもどかしい、、、)。対称式を見たらこうしよう、みたいなものだろうか。うーん、分野や単元に依存しない、というともしかしたら語弊があるのかもしれない。こういうのって化学で言えば周期律みたいなものだろうから。

 

数学にセンスはいらないというのはもともとそうだと思っていたのだけれども、2つ目の気づきは割と想定外だった。問題を解くときは無意識のうちにそうしていたのかもしれないが、まだ言語化できていないとはいえども「こうなったら嬉しい」という感覚を掴むことが大事だということはもっと突き詰めればうまく学力向上の助言に寄与できるのではないか。

 

もっと解くと新たな気づきが得られるのかもしれないが、それはまた。