ツキアカリテラス

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私が博士号を取得するまで(2)

結局博士課程に進学したのだが、研究を何となくやりたいなと思ってはいたものの、強烈な動機付けがあるわけではなかった。それに、自分自身の研究テーマも、お世辞には言えないほど順風満帆ではなかった。むしろ茨の道だった。

 

博士課程ではこういった研究成果の産みの苦しみも大きいのだが、何より大きいのが人間関係の希薄化である。ほとんどの同級生は修士課程を修了すると就職するため、同世代の仲間が急にいなくなる。私の代は比較的博士課程に進学する人が多かったのだが、当然別のラボであるからほとんど会うことはない。それに私自身、今もそうだけど、そんな仲間とワイワイやるということを積極的にやる人間ではなかったし、、、

 

所属するラボでも、修士課程までであれば後輩とは割と兄弟姉妹のような関係でいられるのだが、博士課程だとそうはいかない。私がラボに入ったときにも博士課程の人はいたものの、やはり雲の上の人というか、ちょっと近寄りがたいな、という感覚はあった。後輩が敬遠するという、これまでにない状況に直面するのである。

 

、、、とまあ、なかなかに過酷な環境ではあるが、それでもうまく人付き合いをこなしたり、順調に成果を出す博士課程の学生もいる。たまたま私がそうだっただけのことなのだろう。

 

結局、研究テーマを少し変えるなどして、少しずつではあるが好転してきた気配はある。それでもなかなか研究成果も出ず、私自身もそこまで研究に没頭するような学生ではなかった。正直、研究というものをどこかで舐めていたところはある。そういうわけで、規定を満たすことができず、博士課程は留年することに。おまけに就職活動をしたら、というボスの勧めもあり、二度目の就職活動をすることになる。本来、就職活動を促されるというのは、将来のポスドクになりうる人間にとっては、ある意味で戦力外通告に等しい。もはや万事休す、といった感じではあるが、私自身もこの先アカデミアに残ってやっていけるかという自信もなく、そもそも研究に対する熱量も低下していたので、気持ちを切り替えて就職活動をすることになる。ああ、私は研究が好きだというよりは実験が好きなのだなあ、と改めて振り返る。もっと早く気付けば良かったのだが、、

 

続く。