ツキアカリテラス

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学校は想像以上に難しいことをやっている

仕事柄、学校の授業内容についても質問を受けることが多く、その中で学校でどのレベルまで授業が展開されているのかを知ることも多い。特にここ数年は、学校で扱われている内容のレベルが非常に高いなと思わされることばかりだ。

 

例えば化学の場合、結合であれば混成軌道は扱うし(まあ化学基礎の教科書で発展事項として記載は一応あるからね)、結晶であっても、高1で大学入試レベルまでガッツリ一通り扱う、つまり入試問題で定番の限界半径比だったり、それこそ難関大くらいでしか見かけないであろう、水素吸蔵合金など結晶の隙間に原子を入れる問題などまで普通に扱われている。

 

もちろん、学校は3年間を見通して体型的にカリキュラムを組んでいるわけだし、学校には学校なりの考えや価値観や意図はあるので、それを否定するつもりは毛頭ない。しかし、生徒本人にしてみればなかなか大変だなと思う。いつかはそれくらいのレベルを消化しなければならない。ただ、その消化ペースやタイミングは個人によって少しずつ異なるので、個別にそのあたりはうまくサポートしてやらなければならないなと感じる。

 

それこそ、私教育に携わる人間がお構いなしに、学校で学んだことと全く親和性のないような難度の高いことをやることは消化不良を促すだけではないかなと思う。学校のやり方をどうこう言うよりも、個人的にはそちらの方がよっぽど問題だと思っている。結局教える内容は学校であっても塾であっても変わることはない。問題はそれをどれだけ完全消化した形にもっていくか、だ。それを学校だけでできる生徒もいるし、学校自体ももちろんそれを目指す。だが、それでも困り感を抱える生徒は必ず出てくる。そのような生徒を、学校も塾も野放しにしてはならないのは当然だ。

 

完全に学校準拠というわけにもいかないが、学校で習う内容がだんだん高度化していく中で、わからずに困っている生徒に寄り添った指導は今後ますます大切になってくると思う。