ツキアカリテラス

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化学における理解型暗記の例(周期律)

暑くなってきた。今年は猛暑という予報なので、熱中症にならないように気をつけたい。室内でも熱中症は十分に起こりうるので、水分補給なども欠かさずにしておきたいところである。自習室で根を詰めてやっていると、水分補給を忘れることも少なくないので。

 

化学は割と敬遠されやすいというか、勉強を面倒くさがられやすい科目だと思っている。中途半端に計算や思考が、そして中途半端に暗記が必要なので、結局どちらか一方だけで押し切れるものではないからだ。もちろん丸暗記しなければならないことはあるのだが、全部がそうではない。そうではないものについて、暗記をなるべく減らすのが、暗記型の学習において大切なことである(他の科目でもそうなのだが)。

 

例えば周期律。これは電子配置さえ頭にあれば理論的に理解をしていくことができる。イオン化エネルギー(第一イオン化エネルギー)を例にとってみよう。まず、イオン化エネルギーの定義は覚えておかねばならない。「原子が1個電子を失うときに必要となるエネルギー」のことである。

 

さてここで、この定義を丸呑みにするだけではいけない。そもそもなぜ「エネルギーが必要」なのか、である。これは電気的な力を頭にいれておけば難なく理解できる。電子を手放すということは、電子のもつ負電荷と、原子核における陽子のもつ正電荷との間にはたらく引力に逆らって電子を動かすことである。ここからエネルギーが必要だというのは理解できるだろう。そして、このイメージがあれば、イオン化エネルギーが小さいほど陽イオンになりやすいという、一見ん?と思ってしまうような事柄も難なく理解できる。電子を手放すのに必要なエネルギーが小さいということは、それだけ電子を引き付ける力が弱い、言い換えれば電子を手放しやすいので、陽イオンになりやすいのである。

 

そしてこの引力の強さは、原子核における陽子の数と、原子核から一番離れている電子殻との距離に関係がある。まず、周期表でヨコの関係においては、前者が原子番号(=陽子数)の増加に伴って増えるので、引力は強くなる。ではイオン化エネルギーは?そう、もちろん必要なエネルギーはその分大きくなるので、イオン化エネルギーは大きくなある。次に、周期表でタテの関係においては、後者が原子番号の増加に伴って大きくなる。つまり、原子核と最外殻電子の距離が遠くなるので、引力は弱くなる。だからイオン化エネルギーもその分小さくなるのだ。

 

ここで、周期表でタテに見たとき、原子番号の増加に伴って陽子は増えるのでは?と思ったあなたは鋭い。しっかり「なぜ」という考え方ができている証拠だ。これは、最外殻の内側に注目すればよい。すなわち、陽子数も増えるが、最外殻よりも内側にある電子の数も同時に増えるのだ。その差を考えた場合に、正味の正電荷の数は実は変わっていないことがわかる。だから、周期表のタテの関係を見る際には、陽子数の増加は考えなくてもよいのだ。

 

以上のことから、周期表において、右上にある原子ほどイオン化エネルギーが大きい傾向にあることがわかる。そして、陽イオンへのなりやすさはこれとは逆の関係、つまり、左下にある原子ほど陽イオンになりやすいということもわかる。

 

このようにして、1つ1つ「なんでそうなるのか」を教科書の知識を駆使しながら理解しつつ、覚えていくことが大切である。