ツキアカリテラス

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コピーバンドで大事なこと

いっときの間、オリジナル曲を演奏するバンドに所属していたことはあるものの、振り返ればほとんどは既存のアーティストのコピーバンドで活動することが大半だった。私はベースという、割と買い手市場にあるポジションだったので、自分からバンドを作るということはほとんどなく、どこかに呼ばれて、という形が多かったものの、一度だけ自分でバンドを立ち上げたことがある。

 

私がコピーバンドを組むとき、その一度きりでもそうだし、これから機会があれば(たぶんほぼない)同じようにしようと思うのだけど、決して演奏が上手いからといって即採用することはしない。これも人それぞれで、即戦力となるような演者を招聘することを大事にしている(と見受けられる)知人も何人かいる。しかし、私は技術的に未熟だったとしても、それは育てりゃいいんじゃない?という立場の人間である。私もいい年なのでそれなりに経験が積み重なってきた。そして、それを年下の人たちに還元する立場になってきたのかなというふうにも感じる。それもあって多少長い目で見ても育てていくというスタンスに関しては肯定的なのだ。

 

では、何を重視するのかというと、それは「愛」である。そのアーティストに対する「愛」がどれだけ深いのか。それは自ずからそのアーティストの詞曲に対する深い解釈につながる。言い換えれば「出音」で決めるともいえるのだが、その「出音」にはその人の生き様というか、これまで聴いてきたものが反映されると思っている。その核にあたるものが私は「愛」だと思う。実際、多少拙くても、そのアーティストに対する愛情が半端ない人のパフォーマンスは観ていて憑依しているんじゃないかというふうにも見えて、満足感を覚える。逆に、上手くても、いやいや全然アーティストの形跡をなぞらずに自分の癖を押し込んでいるだけだろというバンドも時々見るのだが、やはりチープなものである。

 

そういうことをオーディエンスの立場からなん度も経験しているので、先述の私が結成したバンドは「愛」がある人にのみオファーをかけた。お断りされたらこのプロジェクトはお蔵入りにしようと思っていたのだが、ありがたいことに快諾してもらえて、楽しい時間を過ごすことができた。練習中では、あまりにもマニアな話に私がついていけなくなったほどである(笑)

 

愛だろ、愛。というフレーズがCMにあったけれど、これは特にコピーバンドにおいては金言だと思う。