ツキアカリテラス

tsuki-akr terrace

みんなが使っている参考書はあなたに合うとは限らない(前編)

仕事柄、問題集や参考書に詳しくなってしまうし、本屋に行くとそういうコーナーに必ず足を運んでしまうものである。そもそも、私自身が受験生だったときも半分参考書オタクみたいなところがあり、暇さえあれば高校の近所にある本屋に立ち寄っていた。そう考えると今の仕事はその頃のオタクっぷりを発揮できているという点で天職なのかもしれない(笑)

 

ところで、生徒が使う問題集や参考書は、どうしても人気に偏りが出てしまう。たしかにその評価と、世間一般の評価というのはおおむね相関がある。化学であれば「化学重要問題集」「化学の新演習」、物理であれば「名問の森」「橋元の物理をはじめからていねいに」といったところだろうか。

 

しかし、問題なのは、その人気“だけ”を評価軸として問題集や参考書を選ぶケースが少なくないということである。参考書だけでない。予備校の受講講座においてもそのような傾向がある。これに関して私は否定的ではあるが、安易に否定し難いと思っている。たとえ人気だけで受験の伴侶を選択したとしても、そこでモチベーションが高まり、特に自学自習という点では大きな成長を遂げることがあるからだ。それでも、参考書や問題集のレベルと自分のレベルが大きく乖離している場合は話が別である。少なくとも私の経験上、それで飛躍した受験生は皆無である。

 

受験勉強でいきなり「化学の新演習」を始めるケースや、クラス認定がとれたからといって自分の実力の遥か上の講座を受講し、そこで結局ちんぷんかんぷんでほとんど定着できていないケースを見たことがある。いずれも基礎がすっぽ抜けているので、難問はおろか、入試標準レベルですら苦戦している状況だった。

 

入試問題はある程度経験勝負なところがあり、いわゆる典型問題をどれだけ解いたか、自分のものとして消化したかが問われると思っている。ここで大事なのは解いた量ではなく、質も追求しなければならないことだ。やったことのある問題だけが解けるのでは結局実力になっていない。見たことのない問題に対して、やったことのある問題と同じアプローチがとれて初めて、実力がついたことになるし、基礎が完成したということになる。その基礎を完成させるためには、時期にもよるが志望校はひとまず置いといて、ちょっと頑張れば手がとどくレベルの教材に取り組むが良いと思う。そしてそのレベルというのは、大人であればともかく、案外自分では判断できない。第三者の意見を聞くのが時短にもなるしベストだと思う。

 

おそらくプライドもあるのかもしれないが、それをさっさと捨てられるかというのも受験勉強では大事なことだと思う。周囲の評価に惑わされず、身の丈にあった問題集・参考書選びをしていただきたいと思う。

 

では、レベルにあった参考書だと良いのかというと、そうでもないところがある。長くなったので続きは次回。