オノマトペを使いこなす生徒はデキる
今日の話はこの続きだったりする。
ここで
「正しい表現でなくてもいいから、自分なりの表現で答えてみて」
と書いたのだけど、これは実際には「擬音語とか擬態語とか使ってもいいから」と付け加えていることが大半で、生徒が答えに窮しているときにはこういう声かけをすることが多い。半分冗談のように聞こえるが、これはいたって大真面目な発言なのである。
化学というのは割と理科の中でも好き嫌いの激しい科目である(と思っている)。おそらくは中途半端に暗記量が多く、かといって暗記だけでは太刀打ちできないような場面も往往にしてあるからだろう。これらを両立するためには化学現象をイメージ化して理解することが大切だと思っている。これができれば暗記もしやすくなるし、思考もしやすくなるからだ。実際、化学は原子やイオンといった、目に見えないものを扱う。だからこそ、可視化した形で理解することが大切だと思う。
ところで、水素結合は分子間に働く引力の中でも比較的強い力なのだが、それを「ぎゅーんと引き合う」と言ったり、気体分子のふるまいを「びゅんびゅん移動する」と言ったり、擬音語やら擬態語やらをやたらと多用して話すケースは結構ある。私もそういう生徒を何人か見たことがある。
で、驚くべきはそのイメージが非常に的を射ているのだ。もちろん表現自体は改善の余地しかないと思う。しかしその生徒は化学的にものを見る目をたしかに持っている。実際、そういう擬音語や擬態語を多用する生徒から鋭い質問を受けたことが何度かある。そして、そういう生徒は化学で優秀な成績を残していることが多い。
そういうわけで肌感覚ではあるが、私は「擬音語と擬態語でもいいからしっかりと化学現象を記述できる人は実力のある人」だとみなしている。これから化学を勉強する皆さんは、まずは自分なりの表現でいい、拙い表現だと思っていてもいい、擬音語でも擬態語でもいいから、ありのままに化学現象を記述できることを目指して欲しいと思う。適切な言葉はそこからオンすれば良い。