ツキアカリテラス

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模試を受けてから

大学入試に向けた模試の1次ラッシュが終わりつつある(あと8〜9月と10〜11月に二度ラッシュがある)。おそらく、この時期に初めて大きな模試を受ける高校生は多かったと思う。

 

模試といえば、どうしてもAだとかEだとか、判定に目が行きがちであり、その結果がすべてだと勘違いして一喜一憂してしまう者も少なからずいる。しかしよく考えて欲しい。模試の結果がどうであろうが、本番にテストを受けて上位何番目かに入れば良い、それが大学入試である。

 

いま模試を受けた結果はあなたの本番での実力を反映するものだろうか。答えはもちろん否である。高3から受験勉強を始めたのであれば、まだ2ヶ月も経っていない。そこまでの伸びがこの一年間の伸びと同じなんてあり得ないはずだ。まだまだ先は長い、ここからいくらでも学力は上がっていくし、上げていかないといけないと思う。また、以前からすでに受験を見据えた勉強を進めていたとしても、入試本番レベルの問題をガッツリやっている、という者はまだそこまで多くないはずだ。だから、やはり今の学力が本番の学力を反映するとは言い難い。

 

それよりも、これからの長い勉強期間でどう効率的に勉強を進めていくかの戦略づくりが大切である。だから、私もこの時期の進路相談では判定は軽い参考にしかしない。この時期、私が注目するのは「全科目のバランス」と、「各科目の大問ごとの得点」である。

 

「バランスが大事」だとはよく言われるのだが、案外これについて強く意識している高校生は多くないと感じる。好きな科目/できる科目の勉強ばかり進め、嫌いな科目/苦手な科目の勉強を避けようとする。そして無意識にそうしていることも案外ある。それでも「勉強」は進められているのだから満足して、後々になって大変な目に遭うというケースは時々ある。また、そこまでひどくなくても、ある数ヶ月、特定の科目の勉強を集中してやった結果、他の科目が疎かになって成績が下がる、というのは結構耳にすることだ。こういうことは高校生に限ったことだけではなく、大人でも十分起こりうることだから、そうなっても仕方ない部分はある。そのときに大切になるのは第三者の指摘である。「この科目は問題ないけれど、この科目は大丈夫か」と声をかけることで、いま足を引っ張っている科目に目を向けることができる。もしかしたらその相談の瞬間にしか目を向けてくれないことがあるかもしれないが、それでも全く声をかけずにそのまま放置されるよりはよっぽど良いと思う。

 

そして「いまどこができていないか」の把握も大切である。点数がとれなかった原因を聞くと「この単元が苦手」だというレベルまではわかっているのだが、じゃあ詳しくどこが苦手なのか、なぜ苦手なのか、苦手を克服するには具体的にどういう行動を起こしたら良いのか、については言語化できていないことは多い。いや、ここまでわかっていればまだ把握できている方で、解けなかったことを「問題の相性」だと分析したつもりになって、結局根本的な解決をしないままでいることもあるのではないか。これを分析するための客観的な根拠として「大問ごとの得点」がある。特に全国平均を割っているものは、急ぎ対策を講じなければならないだろう。先述の通り、まだまだ学力は伸びていくので判断は難しいかもしれないが、早期に弱みを発見することは大切だと思う。

 

もちろん、それに加えて、ここまでの学習の進捗というのも私はかなり気にする。場合によっては回り道がすぎるような学習法をとっている者もいるだろう。それを軌道修正することも、戦略を立てる上で大切である。

 

模試は受けてからが本番である。